子供の教材

中学受験対策に最適と言われる最レべの考察-算数

中学受験をする子供たちの自宅学習の教材として、とても有名なもののひとつに最レべがあります。同様に有名な教材にトップレベル、スーパーエリートもありますが、それは後日考察することにして、今日は最レべを詳しく考察していきたいと思います。

各単元が3段階で構成され、レビューテストで確認できる

最レべの「指導される方々へ」というところに「教科書で学習する基礎的な問題(標準問題)から最高水準の選りすぐった問題(最高レベル)まで3段階に分けて、効率よく学べます」と書いてあります。

まず最初に22個に分かれている項目を見ていきます。

項目

1)あつまりとかず
2)10までのかず
3)じゅんばん
レビューテスト
4)かずのわけかた
5)たしざん(1)
6)ひきざん(1)
レビューテスト
7)20までのかず
8)とけい
9)くらべかた(ながさ・かさ・ひろさ)
レビューテスト
10)たしざん(2)
11)ひきざん(2)
12)いろいろなかたち
レビューテスト
13)大きいかず(100までのかず)
14)かずのならびかた
15)かたちづくり
レビューテスト
16)たしざん(3)
17)ひきざん(3)
18)□のあるしき
レビューテスト
19)算術特訓(1)集合
20)算術特訓(2)和差算
レビューテスト
21)文章特訓(1)
22)文章特訓(2)
レビューテスト
総合実力テスト①
総合実力テスト②

一見すると、大したことなさそう、とお感じになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最初の項目である「あつまりとかず」は特別ひねった問題もなく、助走にはちょうど良いかなと思う出だしです。

では、次の「10までのかず」はどうでしょう。
「10までのかず」の最高レベルの問題を詳しく見ていきます。

<問題>
■を とおると もとの かずより 2 大きくなり、その かずと 〇の 中の かずを あわせると 10に なります。〇に 入る かずを かきなさい。
という問題です。

参照する例題として下記の図が示してあります。
3⃣→■ー⑤→🔟

つまり3⃣(元の数)より2大きくなり、その数と〇の中の数、5を合わせると🔟になる、という解説ですが、第一段階の3⃣より2大きい数、が5で、この5と〇(答え)を合わせて🔟になる数、というのも5となります。

ゆえに、一瞬元の数より2大きい数が〇の数と混同する人も出るのではないでしょうか?
トリックを仕掛けるがごとく、例題にこの数字を入れたのかは定かではありませんが、こんな例題があるために、なおさらごちゃごちゃになる子供も多い気もします。

もう一度問題文を示し、設問で与えられた数字を書きます。

<問題>
■を とおると もとの かずより 2 大きくなり、その かずと 〇の 中の かずを あわせると 10に なります。〇に 入る かずを かきなさい。
2⃣→■ー〇→🔟

2⃣が■を通ると元の数より2大きくなり、
その数と〇の中の数を合わせると10になる、
ということなので、〇は6なわけですが、

この設問には、■を通ると元の数より2大きくなり、というところで得られた「4」という答えを書くところがありません。

つまり「6」という答えを導き出すために
2+2=4
10-4=6
という二段階のステップを必要とします。

上で
2⃣が■を通ると元の数より2大きくなり(ステップ1)
その数と〇の中の数を合わせると10になる(ステップ2)
つまり〇は6となる
と書きましたが、このようにステップを明確に分けて整理できるかがカギとなります。

多くの子供は
2⃣が■を通ると元の数より2大きくなり、その数と〇の中の数を合わせると10になるからーーーとずらずらとつなげて考えてしまうのではないでしょうか。

子供は一つ答えが出ると、早合点して正解を得た!と単純に思いがちですが、

この最レべでは、ひねってある問題が多いため、
頭の中できちんとステップを分けて、
自分が今文章のどこのステップにいるのかをきちんと把握できるか、
その能力が求められます。

きちんと日本語を読み、問題文をしっかり読み解く力が求められているわけです。

縮小版の解答

表紙に縮小版の解答付き、と書いてあるだけあって、とてもシンプルな解答がついています。この最レべは非常に難しいため、ほとんどの子供が自習は出来ないはずです。

そうなると親が手助けをしてかみ砕いて説明をする必要があるわけですが、解答にはシンプルに式と答えが書いてあるのみ。ほとんど細かな解説はありません。

方程式を使えない段階の子供にこんなのどうやって説明するんだろう?とか
感覚的には答えが分かるけれど、理論的に説明するのはどうしたら良いのだろうか?とか
いくつか説明の仕方があるけれど、どれを採用するのが勉強の段階においてふさわしいのだろうか?とか

手助けをしている、説明をする側の親にも「解説をしてあげる力」が求められます。これが嫌だわと言う方には、この最レべは向かないと思います。トップクラスやスーパーエリートは詳しい解説がついているので、そちらを手に取られる方が良いと思います。

ちなみに、この問題集に「子供自身が自分で答え合わせしやすいように、問題頁をそのまま縮小して、分かりやすい解説をいっしょに載せている」と書いてありますが、答えだけは子供がチェックできても、分かりやすい解説というのは、見当たらない気がするので、子供だけで答え合わせをして、解説を読み、理解することは不可能だと思われます。

最レべの取り組み方の勧め

小学校1年生用だからと言って、1年生になったとたん、これを与えても、あっさり出来る子供は殆どいません。標準問題ですら最初は難しいかもしれません。

特に、説明文も大してなく、図が示してあり、それをもとに解答していく問題などは、その図が示す意図は何なのかを理解する力や、そういった図に慣れるまで、読み解くことに慣れるまで、例え標準問題でも、実はシンプルな問題でもできないと思います。

最レべは上記したような特徴を持つため、計算問題自体は多くありません。
最レべが狙うのは、問題の把握力の向上、文章を立体的にとらえて、頭の中で整理する力のトレーニングです。
基礎的な計算問題でつまずいてしまう時は、まずそこをきちんと解消した方が良いと思います。

基礎計算力があるからと言って、この最レべがいきなり出来るということもないと思います。重複しますが、とにかく文章問題を読んで、式を作るいくつのステップが必要なのかを整理する能力が必要なので、これはとにかく何度もやってトレーニングしなくてはなりません。

どこかのサイトで1年2年ともに2度ずつして、全部が理解できるようにして、、ということを読んだことがありますが、2度ずつでは、どうしても不安が残る問題があると思います。

何回、と決めるのではなく、
最初の一回は「出来ない部分を知るため」と思ってやり
二度目は「一度目で勉強したことが理解・定着出来ているかの確認のため」にやり
三度目以降は「解けなかった問題を相手に説明できるくらい理解できるまで」やる
というように、最初から長期戦でやるのが良いと思います。

長期戦で出来るように、とにかくなるべく早くに最レべに取り組み始められるようにしたいです。1年も終わろうかという時になってから1年生の問題集に初めて取り掛かるのだと、なかなかできない!となった時に焦るので、なるべく基礎計算力を早めにつけて、なるべく早く最レべに取り組みだすのが良いと思います。

併用して取り組みたい教材

これは上記した通り、最レべだけでは計算問題が足りないと思うので、基礎計算力が身につく問題集の併用が必要だと思います。我が家では公文をずっとやっていますが、隂山メソッド計算プリントも使っています。公文も隂山メソッドも長い間にわたり定着しているだけあって、とても良い教材だと思います。

まとめ

とにかく難しい最レべ。学校の教科書には全く書いてない問題がたくさんあります。実際初めて見た時は、これを小学校一年生が出来るのかな?と驚きました。小学校の算数の授業も参観日に見ましたが、レベルに大いなる隔たりがありました。

最初に標準問題がもし全部出来たならお子さんをほめてあげたいです。ハイレベル、最高レベルに至っては、きっとお子さんはこんな問題を目にするのは初めてのはず。最初は頭がパニック、目がチカチカ、なんじゃこりゃ?という気持ちだと思います。

もし、つまってしまうなら、延々と悩ませず、授業をするつもりでしっかり解説をして、類題を作って、理解が定着するまで付き合ってあげましょう。お子さんの脳みそは柔らかい。必ず理解し、吸収してくれる時が来ます。

一回目は出来ると思わない方が良いと思います。ハイレベルや最高レベルで難しいのは計算ではありません。問題文の読み解き、把握し、思考を組み立てることです。これには慣れが必要です。じっくり取り組んでお子さん自身のチャンネルが合い、パズルがはまりだすまで根気強く付き合うつもりで取り組んでください。

我が家では、これの説明のためにホワイトボードを購入しました。まさに黒板のつもりで。非常に有用です(^^)

しぇんこ

COMMENT